最後にありがとうと言えたなら ~亡くなった方が教えてくれたこと~

大切な方とのお別れの仕方をご遺体が教えてくれました

紙の上の納棺式

納棺式というお別れの時間を知ってほしくて始めたブログで、いいお別れは納棺式じゃなくても出来る!という話をする日がくるなんて・・・。
 
 それもこれもコロナのせい💢
 
葬儀業界の新型コロナ影響は、あまり取りざたされませんが、ご多分に漏れず葬儀の現場でも影響が出始めています。葬儀の現場では立ち合いをせずに、もしくは小規模にお別れをするご遺族が増えています。
 
本日コロナが原因で亡くなった志村けんさんの訃報が流れ、国民皆さんが、ショックを受けました。
特に志村さんのお兄さんが、志村さんの亡骸は直接火葬をし、火葬時にさえ一緒にいれないと涙を流しているのを見て、私も胸が苦しくなりました。
 
もしかすると、自分の想いとは関係なく満足なお別れができてない人がこれからもっと増えていくのかもしれません。
 
私が納棺士としてご遺族のお別れのお手伝いをしていると、ご遺族の中に、亡くなった大切な人と、素敵なお別れの時間を作り出す「お別れの達人」がいます。
 
その人たちが、共通してやっていることは「亡くなった人との時間を振り返る」です。
 
葬儀や納棺式の時間なら、それが自然にできます。冷たくなった体に触れながらあの世に旅立つ準備をしたり、思い出の品を棺の中に納めます。
 
そして、葬儀や納棺式でご遺族は、悲しみや思い出を、葬儀に来てくれた人達と共有するのです。
 
この時間は、亡くなった大切な人が、今までとは形を変えて、また一緒に歩んでいくために必要な大切な時間です。
 
でも、そんな時間を持てない時、私は納棺士として、紙の上の納棺式という、小さな儀式をお勧めします。
 
実は、私も父の葬儀の時は何をしたらいいのかを知らずに、あっという間に終わった葬儀を今も後悔しています。
 
紙の上の納棺式
(私のお父さんバージョン)
 
まずは、思い出す作業です。
楽しかったこと、好きなもの、その人ならではのもの、趣味、今の気持ち、伝えたいことなんでもOK。
 
そして、それをどんな形で棺に入れていくか考えましょう。
雑誌やネットから印刷した物の切り抜き。
思い出の品がある時は写真に撮って印刷しておきます。
シールとか飾るものはなんでもオッケー。自由です。
 
という訳で、、、どどーん!
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ありがとう、イラスト屋さん。

さっそく作って行きます。


棺(紙)を用意します。

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まずは父の好きなカツオのお刺身をペタ。
そして、父のカラオケ十八番の石原裕次郎。本当歌が上手だったんですよ。

 

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父の得意料理は「おにぎり」力任せに握るので餅みたいに硬いのですが、海苔を1枚使って作るおにぎり。もう一度食べたいなー。

おにぎり大きくて、はみ出しました。
はみ出してもオッケーです。

 

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一緒に行ったゴルフの練習場や孫(うちの子達)と行った旅行でカモメに餌をあげたことも思い出しました。


綺麗な花で飾ってみます。
最後に、いつも父と母で取り合っていた猫の「みゆ」もペタッ。
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賑やかになりました。あまり綺麗じゃないけど。

 

実はこれ、新入社員と入社式のワークでやったり、一般の方向けのセミナーでも行いました。

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その人だけの作品が出来上がります。
 
出来たら親しい人と是非、共有してください。
 
亡くなってすぐは気持ちも落ち着かず思い出と向き合うことも難しいこともあります。
 
ただ、この納棺式はいつでも、何回でもできます。家族で各自の棺を作ってみるのもお勧めてす。

 

辛いとき、深呼吸して強制的にゆっくり自分に向き合う時間をとることをしましょう。

 

そしてメールや電話でもいいので、誰かとつながりましょう。きっと傍に寄り添ってくれる家族、友人、葬儀やさん、納棺士がいます。こんな時だからこそ周りを見渡して、誰かを思いやる気持ちを、持ち続けたいですね。