最後にありがとうと言えたなら ~亡くなった方が教えてくれたこと~

大切な方とのお別れの仕方をご遺体が教えてくれました

新人納棺士さんに学ぶこと

納棺士になって10年が過ぎ研修や教育する側となり、なんだか偉そうなことを言ったりしてます。

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納棺士になるには、資格があるの?

 

と聞かれたりしますが、資格などはなく先輩納棺士について覚えていく職人のような世界です。

 

とは言え、最近は大学を出て納棺士になる人も増えてきました。以前の様に「見て習え!」が通用する訳はなく、社内の研修制度も充実してきていると感じてます。

 

例えば、ご遺体の変化や処置を学ぶ「遺体衛生」や葬儀にはつきものの「宗教学」や「マナー」など知識も詰め込みます。

 

しかし、やはり社内研修よりも実際の納棺式に先輩と行き、学ぶ方が数倍身につく事があります。

 

先日も新人納棺士と一緒に70代の女性の納棺式に伺いました。

棺に亡くなった方をご移動した際に、今まで気丈にされていた50代の喪主様が声を洩らして泣いていらっしゃいました。

少しそのままお時間を取っていると、横から鼻をすする音がしてふと、そちらを見ると新人納棺士が一緒に泣いています。まだ20歳になったばかりの彼女。必死に涙を堪えてますが、完全に泣いてます。

部屋から出ても大丈夫だよと小声で伝えると

すいません。と言って席を外しました。

 

その後5分も経たず戻ってきて必死にご遺族の話を聞き、思い出の品物をどこに入れるか悩みながらご遺族と入れていきます。

 

最後にご遺族は私と新人納棺士に、いろいろありがとうございました。とお礼を言って下さいました。

 

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新人納棺士が現場で学ぶ事は沢山あって、この仕事を辞めたとしても、必ず人間として成長できると思います。

一つ一つ学ぼう、ご遺族をサポートしようと必死です。

 

そして、偉そうなことを言っているベテランと呼ばれる納棺士も新人から学ぶ事が沢山あると気づくのです。

 

1人の納棺士が一年間にお手伝いする故人様は約500人。

 

ご遺族1人1人にとって一度きりの大切な時間であると同時に、私達納棺士にとって、日常になる事が一番怖い事だと思います。

 

出来たと思ったら、それ以上は出来なくなる。

 

新人納棺士に負けないようにがんばります。