最後にありがとうと言えたなら ~亡くなった方が教えてくれたこと~

大切な方とのお別れの仕方をご遺体が教えてくれました

梅雨のお別れ

今年は雨が少ないなぁと思ってましたがここ2、3日は梅雨らしい空模様が続いています。

 

休みの日の雨は、家の中で過ごすにはなんの問題もなく、シトシト降る雨を眺めて

「こんな日に働いている人がいるんだよね」と小さな罪悪感と優越感に浸り休みを満喫しています。

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仕事でご遺族のもとに伺うときは、もちろん雨は大敵です。

なぜなら、納棺士は荷物が多い。

まず、メイクバッグ。

この中には沢山の化粧品や筆、ピンセットなどの処置道具、ドライヤーやブラシ、くし、スプレーなどの整髪道具、お顔剃り用のシェイビングクリームや剃刀など、これがないと仕事ができない!と言ってもいいほど大切な仕事道具が詰まってます。

サブバックには様々なる用途がある綿花(脱脂綿)が入っており、お顔周りを飾ったり、処置をしたり、お顔や体を拭くときに使ったりします。この綿花を10組折り畳んだものを入れています。他にもオムツや防水シートや折りたためる洗面器とお湯の入った小さなポットなんかが入っている。時には亡くなった方に着せる仏衣(着物)を入れることもあります。

これでメイクバックを持つ左手とサブバックを担ぐ左手方が塞がりました。

 

ドライアイスの依頼があると右肩に10キロのドライアイスが入ったケースをかけることになるのですが、フラフラ重い荷物を持って歩く姿はあまりかっこよくはありません。

 

そんな訳で荷物が多い納棺士の移動手段は車です。

車があれば式場や駐車場のある自宅での仕事はあまり問題はありません。

しかし、都内のご自宅などでは家の前には車が止められず、荷物を持って移動することも、しばしばあります。

 

さぁ、そこに雨です。

雨が降れば傘を持つ手が必要となります。

どうにか空いている右手で傘をさしますが、全ての手が塞がり、チャイムを鳴らしたりドアを開けるのにまた、一苦労です。

 

なので、小雨ならつい、傘はささずに行こう!と小走りで荷物を抱えて自宅にお邪魔したまでは良かったけど、納棺式を終えて帰る頃に急な土砂降りになり、ビショビショの状態で車に辿り着く羽目になったりします。

唯一の救いは10キロのドライアイスの入っていたケースが空になっていることだけです。

 

そんな訳で、大学を卒業し入ってきた、か細い女性も、納棺士として認定を受ける一年後には結構、たくましくなっています。特に二の腕は力こぶが浮き出るほどにたくましくなるのです。

 

つまり、一人前の納棺士になるということは重い荷物を持てるように逞しくなることです(笑)そして経験を積むことで荷物だけでなくご遺族も支えられる程にしっかりと頼りがいのある納棺士に変貌しています。

 

雨の休日。

働いてる仲間を想像して、心の中で頑張ってと心配しながらも、休みでよかったーと思ってしまうは仕方がないことだと思うのです。